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騎士団長殺し [本]

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村上春樹の最新刊『騎士団長殺し』の第1部、第2部を読了。
いつもであればもっと早く読み終えている筈なのですが、なかなか読書に回す時間が取れなくて2週間近くかかる事に。

考察などを書ける程読み込んでいないし、感想などはいろんな方が既に書かれていると思うので、ざっくりと印象だけメモ。

なんというか、昔からの一読者としてはなんとなく懐かしさを感じる作品といった印象。多分それは作品の部分部分を構成する様々なパーツが、昔の村上作品に頻繁に登場していたものを踏襲しているからかもしれないです。それは例えば妻の不在であったり、ミステリアスなお金持ちの男であったり、エキセントリックであり主人公に好意的である美少女であったり、井戸的な何かであったり、闇の世界であったり…まあ村上作品ではお馴染みの要素がいっぱいで、ある意味お約束な展開といえばそんな感じです。それが良いのかどうかは読み手次第という気もしますが。

しかしこの作品も暫く置いて第3部がありそうな雰囲気ですね。一応話は完結している感じにはなっていますが、プロローグのエピソードはまだこの物語に先がある事を示唆しているし、なにしろ『環は閉じきっていない』のですから。

バチカン近現代史 [本]


バチカン近現代史 (中公新書)

タイトル通り近代(フランス革命以降)から現在までのバチカンの歴史を分かり易く解説した本。個人的にローマ教皇領からバチカン市国成立までの歴史の流れとかに興味があったのもあって、なかなか楽しめる内容のものでした。
対戦前〜冷戦期の徹底した反共産主義、内部での穏健派・改革派などの対立、反共の結果としてのファシズムへの加担などいろいろ興味深い歴史が垣間見えてきて、読んでみるとバチカンに対する認識がちょっと変わるかもしれません。

しかし個人的にはローマ法王=ヨハネ・パウロ2世のイメージが大きかったりする訳ですが、やはり読んでみると抜きん出て偉大な法王だったのだなと改めて知る事に。まあ後任のベネディクト16世も生前退位などあって別の意味で特別だったりしますが(ネットでの扱いも…)


バチカンに興味のある人、旅行でサン・ピエトロ大聖堂やバチカン美術館に行ったような方などにはオススメの一冊です。

Casa BRUTUS 16年9月号 [本]

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アジアリゾート特集という事で購入。

予算的に手が出なさそうなホテルばかりなのは相変わらず。まあ目の保養って奴ですかね。

ただこの手の特集にありがちな「私が選ぶベストリゾート」的企画はページの穴埋めなのかもしれなけど飽きたというか正直人選がつまらないと内容もつまらなくなるというか。座談会企画もかなりアレな内容でう~んって感じ。これも人選がどうにも。

それ以外の特集記事は良いと思うのだけれど…。

トウガラシの世界史 [本]


トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)

寝る前にちょこっと読む為に購入した本。

唐辛子といえば中南米原産でコロンブス以降世界に広まったというのは世の常識だったりしますが、拡散したのが16世紀以降の割に世界中の食文化に深く浸透しているのが以前から不思議に感じていたところではあります。
で、この本はそうしたトウガラシがいかに世界各地に広まり、定着していったのかを分かり易く解説し疑問を解消してくれる一冊と言えるかもしれません。また非常に読み易く書かれているのでちょっとした時間でさらっと読めちゃうのも良いですね。

ただもっと専門的な知識を欲している方にはちょっと物足りないかも?

Casa BRUTUS 16年5月号 [本]

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なんだか久し振りに購入したのは日本の宿特集だったから。
で、特集で真っ先に取り上げられていたのは、志摩に最近出来たらしい日本で2軒目のアマン。
インフィニティプールの写真とか見るといかにもアマン(そしてケリー・ヒル)といった感じ…尤もアマンなんて泊まった事無いですが。

まあ異常な宿泊料設定のアマンはともかく、取り上げられていた宿の中には泊まってみたいと思わせるところもちらほら。仕事の関係で今後暫くは長期休暇が取れなくなりそうなので、旅行も国内かな~と思うとこういう特集もいろいろ気になる訳でして。

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた [本]


この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた

寝る前にちまちまと読み進めていたものをようやく読了。

タイトル通り、大災害などでこの世界を支える科学文明が崩壊した場合に、再び一から文明を再興するには何が必要なのかを検証する思考実験がこの本のテーマ。
しかしそれは同時に人類がいかにしてこの文明を築いていったのかを再検証する試みでもあり、読む側は人類の文明を支える様々な科学技術の歴史を紐解く事にもなります。

取り上げられている技術は実に様々。衣食住から医療、エネルギー、交通機関など多岐にわたるので読む側としては少々退屈に感じる項目なども中にはあったりする(勿論興味深いものも多い)のですが、本書の性質的にはそれは仕方ないところ。

個人的には最終章で語られる著者の考え方は好きですね。ある意味楽観的にも感じられるところがいかにも科学者っぽくて。

ラオスにいったい何があるというんですか? [本]

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村上春樹の最新刊を読了。
なんというかラオス人を煽るような(笑)タイトルですが、中身は紀行文集という事で旅のエッセイを集めたものとなっております。

村上春樹の紀行文は、他の旅行ライターなどにありがちなうんざりするようなナルシストぶりや上から目線の押し付けがましさみたいなものが無いので安心して楽しめるのですが、今回もなかなか面白く読ませて頂きました。
前作が自伝的エッセイだったのもあって割と抑えめな文体で綴られていたのに対し、今作は紀行文という事もあってかなり村上春樹らしい遊び心に溢れたレトリックで書かれているというのもポイント。

紀行文集なので幾つかの旅のエッセイが収められている訳ですが、一番読んで行きたくなったのはアイスランドですね。ホントいつか行ってみたいです。あとラオスのルアンパバーン(村上春樹的表記だとルアンプラバン)のアマンタカは前にTVの旅番組で観た事がありますが、確かにアマンらしく素敵そうなホテルでした。


フィンランドのエッセイは実際に行った事がある場所なのもあり、読んでいてちょっと嬉しくなったりも。ヘルシンキもハメーンリンナも紹介されている通り結構良いところです。治安も良いし食事だって悪くない。


個人的にはかなり面白く読めた一冊。村上春樹ファンでない人でも楽しめると思いますよ。

ペルシア王は「天ぷら」がお好き? [本]


ペルシア王は「天ぷら」がお好き? (早川書房)

早川の海外ノンフィクションは面白いモノが結構あるので気が向くとチェックするのですが、こちらもレビューを見て面白そうだったので電子書籍版を購入。

タイトルだけ見ると何の本かさっぱりですが、原題は『食べ物の言語学』となっていまして、内容はタイトル通り食文化を言語学の観点から分析してみるというもの。例えば料理や素材の名前のルーツを辿りその変容ぶりを解説してみたり、高級店と大衆店でのメニューにおける言葉の使われ方などを膨大なデータから分析してみたり…などと、言語学という切り口で食というものを考察するなかなか面白い本となっております。
ちなみに邦題の『ペルシア王は「天ぷら」がお好き?』というのは第3章の「シクバージから天ぷらへ」から取ったもの。ササン朝ペルシアの王が好んだと言われるシクバージと呼ばれる甘酸っぱい牛肉の煮込み料理が地中海を経由してヨーロッパに渡る内に魚になり揚げるようになり…そしてポルトガルから日本に伝わる頃には天ぷらという全く違う料理になってしまったという話。

食に纏わる雑学が好きな方ならかなり楽しめる本だと思いますのでオススメです。

職業としての小説家 [本]

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村上春樹の最新エッセイ。
どうもAmazon対策として紀伊国屋が初版の9割程を買い取って云々、というニュースで良くも悪くも話題になってしまっていたようですが…それは著者本人や本の内容とは無関係な外野の話。(でもその所為なのかいつも購入している須原屋には在庫が無かったので別の書店で購入する事に)

まず驚いたのは表紙ですね。村上春樹本人の写真がドーン!ですから、過去の装丁を見てきたファンなら大抵驚かれるのではないかと。まあでも中身を読めばその意図がなんとなく分かるような気も。
内容としてはタイトル通り、村上春樹が小説家としてどのように書き始め、どのように自らの小説世界を構築し、そしてどのように続けてきたかなどを綴ったもの。帯にある「自伝的エッセイ」というコピーもある意味間違ってはいません。(合ってるとも言い難いが…)

長年村上作品(特にエッセイ)を読んできた人なら「以前何処かで同じような事を書いていたような…」とニヤリとする部分も結構あると思いますが、裏を返せばそれだけ昔から読者に向けて自分の創作技術やスタイル、作家としてのスタンスなどをエッセイという形で伝えていたということ。そういう意味ではマスコミのような信用ならないメディアを介さずダイレクトに読者とずっと繋がっていた作家だったのだなと改めて思う訳で。

この本を読んで改めて村上作品の魅力とは一体何なのだろう?と考えたりもするのですが、この本で触れられている自己分析以外に思うのは…やっぱり「品」があるって事かなと。それは初期の頃の作品から最近の作品まで一貫しているところだと思います。例えそれが陰惨なシーンであれ、濃厚な性行為のシーンであれ、不思議と品がある。(まあ本当は不思議でも何でもないのだが)


個人的にはとても興味深い内容で一気に読破してしまいました。あ、でも原発については一応肯定派なのでそこは別という事で。

ハーモニー [本]


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

伊藤計劃の『ハーモニー』を読了。

前作『虐殺器官』ラストの<大災禍>を経た人類が生み出した世界、医療福祉社会『生府』。人体を常に監視するWatchMeをインストールされた人々は、大災禍への恐怖と反動から優しさや協調性を強要する一種のディストピアを作り出していた…『ハーモニー』で語られている未来社会はある意味とても日本的な社会なのですが、アイディアとしてとても面白いです。前作もそうでしたが、こういったSF的アイディアや設定についてはずば抜けて良いですね。

ただ前作もでしたが、物語が終盤になるにつれて展開が大雑把になっていく感じが勿体無い。多分それは登場人物達…特にトァンとミァハがストーリーを進める為の道具に成り果てているからかもしれません。人物の造形にもう少し深みがあればもっと凄い作品になっていたかもと思えるのでそこが残念。


でも物語の結末は結構好きです。個人的にはなんとなくヴォネガットの『猫のゆりかご』を思い出してしまいました。トータルで見てもとても面白い作品だったと思います。
という訳で残すは『屍者の帝国』ですが…一応購入してはいるので暇を見てという事で。